当院の管理方針
  『自然分娩』をどのように定義するかは難しいことですが、当院では「自然待機分娩」も「計画分娩」も「無痛分娩」も「安全に経膣分娩」できれば正常分娩であると考えております。新しい生命の誕生を笑顔で迎えられる様に、毎日の健診で母体と胎児の健康を正確に管理し、患者様が安心して通院できる環境を提供できるようにスタッフ一同日々研鑽しています。

  患者様一人一人の状況(身長・妊娠前の体重・増加体重・臨月に入った時の子宮の状態など)を考慮し、マザークラスやWovie動画配信・毎回の外来での説明など、可能な限り安全に経膣分娩できるように指導させていただいております。

 また、妊娠中の胎児異常の早期発見に始まり、合併症の有無により異なる母体の管理・分娩後の母体と新生児のケア(母乳推奨)・産後育児相談に至るまで個別にかつトータル的にサポートできるように外来・病棟スタッフ全員が全力を尽くしています。特に昨今の核家族化に伴う、退院後の新生児や乳児に関するご相談などは、「産後育児相談外来」にて完全予約制での対応や、吉川市内の方であれば小児予防接種と一緒に日々のご心配事にお答えするなど、患者様に寄り添うことのできるクリニックを目指しております。
 
 分娩時の緊急事態には、新生児救急蘇生(当院医療スタッフ全員が最新の新生児救急蘇生法:NCPRを習得しております)を行えるように、副院長・看護師長(新生児救急蘇生専門コース終了認定者)を責任者として日々トレーニングしておりますので、最善の処置が可能です。
 そのため、当院管理方針の基礎である母体・胎児の安全を十分確保することができるように、予定分娩件数の多い月には分娩を制限させていただく事がございます。
 ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

  最終的に当院での分娩が難しいと判断された妊娠中の母体ハイリスク症例または胎児異常症例は、妊娠中早期に高次施設(東京都内・埼玉県外を含む)へのご紹介をさせていただいております。妊娠中の急変・分娩後のハイリスク褥婦・ハイリスク新生児に関しては、以下の高次施設への搬送が必要となる場合がございます。

《緊急時搬送先病院》
越谷市立病院・川口市立医療センター・順天堂大学医学部附属順天堂医院・草加市立病院・獨協医科大学埼玉医療センター・埼玉県立小児医療センター・順天堂大学医学部附属浦安病院など

 当院の分娩成績
 当院の帝王切開率は(骨盤位・前回帝王切開の方を含め)約14%前後という好成績を維持しております。全看護スタッフが相応のトレーニングを積んで患者様のケアをさせて頂いており、殆どの方が経膣分娩しています。(当院医療スタッフ全員が最新の新生児救急蘇生法を習得しており、いかなる場合でも最善の処置を行います。)その中には、前回帝王切開術後経膣分娩(VBAC)も含まれています。
 また、母体の他科疾患合併症に関しては、それぞれの専門医との兼科や妊娠中または分娩時管理のみ当科にて引き継ぐ形式により安全に分娩できるような体制を整えています。
 双胎に関しましては、お受けできるのは二卵性双胎のみとなりますが、毎年何組かの分娩があります。超音波検査回数を増やして細かく経過観察しており、胎児の体位によっては経膣分娩も検討できる場合があります。